体重が3kg以上ある哺乳類の排尿時間はすべて約21秒であるという研究で、2015年にイグノーベル賞を受賞した「堀江重朗」氏の本、今の私には興味深い内容でした。
タイトル:"寿命の9割は「尿」で決まる"
著者:堀江重朗
※たかが尿と侮ってはいけない!
<動物の排尿時間は21秒>
生物は排泄、交流、敵からの防衛のために排尿をするが、生物ごとに異なる排尿のシステムはすべて流体力学原則(尿の通り道の直径や長さ等)に従っているため、哺乳類の排尿にかかる時間は体の大きさに関係しない。
→私は時間は長くなく、自宅のトイレで時計を見てなんとなく当たっている感じです。(終了時間をどこで区切るかにもよりますが)
興味深かったのは排尿時間ではなく、頻尿や尿に関わる病気の内容です。
<気になったポイント>
・おしっこの回数は、8回/日以上が頻尿 夜間のみは1回/日以上が頻尿である
(私は一日、夜間の回数共に範囲内です)
・頻尿は年を重ねるほど交感神経が優位になり、膀胱の筋肉が収縮することが原因
特に夜間頻尿の原因は…
①尿が多い(水分とりすぎ、糖尿病)
②尿が薄い(腎臓での水分吸収量が少ない)
③膀胱の柔軟性が低い(膀胱が固くなり、貯められる量が減る)
④睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に利尿ホルモンが出て尿が増える)
⑤前立腺肥大
⑥加齢(眠りが浅くなり、尿意を感じやすい)
⑦夜のカフェイン、アルコール摂取、喫煙
⑧「男性ホルモン」の低下(テストステロン値の低下)
・過活動膀胱
原因として膀胱の血流低下により膀胱の神経に傷が付いたり、筋肉が固くなる
他に尿路結石、脳梗塞、パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症(脊髄)
対策として膀胱のストレッチ、運動、膀胱の神経過敏を抑える薬、膀胱の柔軟性に関わる薬(漢方含む)
電気や磁気を当てる
→でもなかなか治らないようで、私は一生付き合う気でおります…
・過活動膀胱の避けた方がよい食品
コーヒー、紅茶、緑茶などカフェインを多く含む飲み物
アスパルテームなどの人工甘味料
炭酸飲料
スパイシーな食べ物
柑橘系と果物、トマト、生の玉ねぎ
チョコレート
高塩分の食べ物
アルコール
→最近は特にコーヒーを飲んだ後は頻尿の度合いが増します^^;
・尿のpH
通常は弱酸性(pH5.5~7.5)
肉などを多く食べた時や発熱、下痢の時は酸性となる。
野菜などを多く食べた時はアルカリ性となる
・尿の比重
通常は1.10~1.025
血液をろ過する腎臓に不具合が起きると変化する
夜間頻尿では尿を濃縮するホルモンの分泌が悪く、比重が低いことがある
・尿潜血
尿路感染症、結石、がん等のおそれあり
喫煙者の潜血は20%で膀胱がんが見られる
膀胱炎や尿路結石は残尿感、頻尿、排尿痛、発熱の症状がある
嚢胞は、そこに菌が繁殖したり、がんができることがある
「尿沈さ検査」で尿に赤血球があるか調べられるが、顕微鏡で血尿がわかる場合もある
・尿白血球
尿路感染症があると陽性になり「膿尿」と呼ぶ
あまり自覚症状はないが、膀胱がんや膀胱結石の可能性がある
・尿たんぱく
腎臓病の疑い(腎臓のろ過機能に問題がある)
「尿沈さ検査」でわかる
・尿糖
糖尿病予備軍のおそれあり
血中の糖濃度が高すぎて、糖を処理しきれずに尿に出る
<検査・確認方法>
・「尿検査テープ」を購入し、自分で検査
血液検査は病院しかできないが、「尿検査テープ」は市販であり、いろんな検査ができる(数百円)
・血尿
色は赤、ピンク、茶色等で単に濃い尿とは違う
但し転んだりして腰を打った時にも血尿が出ることがある
テニスやマラソンなどかかとを強く打つようなスポーツを激しく行った後などにでることがある
・泡立ち…しばらくしても泡が消えないのが毎日続くようであればタンパクや糖が出ている
・にごり…白濁していると「神経因性膀胱」、「前立腺炎」、「尿道炎」
・におい…多くは気のせいであるが、飲み物や食べ物、薬の影響、甘い香りは糖尿病
・痛み…多くは感染症のサイン
尿道炎の可能性、にごりを伴う
<改善・予防方法>
・尿活トレーニング
肛門エクササイズ…肛門を5秒閉めて緩めるを10回
尿道エクササイズ…トイレに入った時、排尿を我慢する
スクワット…朝晩に10回ずつ
骨盤底筋体操…仰向けで膝を立て、肛門に力を入れ10秒引き締めたり緩めたり
ブランク…インナーマッスルを鍛える(30秒)
肩甲骨エクササイズ…肩甲骨を背中の中心に向かって引き寄せる(1時間~数時間に1回)
ウオーキング…15~30分/日以上
・快尿食
「アルギニン」と「シトルリン」は一酸化窒素の材料となり、膀胱に柔軟性を与える
アルギニンを含む食品
魚介類…エビ、ホタテ、イワシ、サバ、カレイ、サケ、サザエ
肉類…鶏胸肉、豚ヒレ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、マトン
種子類…かぼちゃのタネ、落花生、ゴマ、松の実、アーモンド、エゴマ、カシューナッツ
アマニ、クルミ、ブラジルナッツ(当初積極的に食べていました)、ヒマワリの種
豆類…高野豆腐、湯葉、煎り大豆、納豆、豆腐、おから、ソラマメ、ひよこ豆
シトルリンを含む食品
ウリ科の植物…スイカ、メロン、冬瓜、キュウリ、ニガウリ、へちま
・サプリ(医師が効果があると認めたもの)
ノコギリヤシ、ペポカボチャの種、アルギニン、シトルリン、アスタキサンチン、
クルクミン(ウコンを栽培してウコン酒を少量ずつ飲んでいます)
<関連する病気>
・排尿困難や残尿感は膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、膀胱結石、尿道結石、尿路結石、前立腺がんかも
・腎臓がん
腎臓は沈黙の臓器で、肥満にならないこと、内臓脂肪を減らすこと、また日光を浴びるとよい
塩を控える、高血圧にならない、活性酸素を増やさない
・膀胱がん
男性の罹患率は女性の4倍
原因は食品に含まれる添加物等の化学物質である
明太子やハム、ウインナーなどの発色剤「亜硝酸ナトリウム」は典型→が家では極力ひかえています。
アジア地域に比べ、欧米の発生が多いのは肉食のせい
→宇治病院の定期診察ではエコーによる膀胱がんの確認を行っています。
本のタイトルは少し大げさな気がしますが、中身は濃いもので楽しんで読ませていただきました。
現在、私は前立腺がんの治療後6年あまり経過し、このままいけば治る可能性は高くなってきています。
しかし頻尿等の尿問題は一生お付き合いするものと覚悟しております。命が助かるのならお安いことです。
そのうえで少しでもQOLを上げることの手助けとして読み直すことも考え、備忘録として具体的に列挙しています。
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